田村能里子展、10月開催。3日(土)にトークショーも。



朝晩の空気にすっかり秋の色が濃くなり、旭川の街路樹も少しずつ色づき始めました。澄んだ空気の中、実りの季節を存分に楽しみたくなる、そんな季節がやってまいりました。

さてギャラリーシーズでは、10月2日(金)より10月19日(月)まで、35周年記念特別企画として「田村能里子展」を開催いたします。

田村能里子さんは、国内外66か所もの壁画を手がけてきた、日本を代表する壁画作家のおひとり。実は当画廊ともっとも縁の深い洋画家で、これまでも節目の折々に個展を開催してまいりました。今回はギャラリーシーズ35周年という記念すべき機会に、改めてその世界をご紹介できることを大変嬉しく思っております。

田村さんは1944年、愛知県生まれ。武蔵野美術大学で油絵を学んだのち、1966年から73年にかけてインドに滞在し、大地に生きる人々の姿を描き続けました。その後もアジアやシルクロードを巡りながら、各地の民族文化や祈りの姿を象徴的に描き出す作風を確立。1988年には文化庁芸術家在外研究員として中国に滞在し、92年には西安のホテル「唐華賓館」に壁画「二都花宴図」を完成させ、中国政府より軒猿杯を受賞するなど、国境を越えて高く評価されてきました。

国内でも、客船「飛鳥」、中山競馬場、横浜みなとみらいのコンサートホール、京都・天龍寺、ホテル椿山荘のロビーなど、名だたる空間に壁画を残している田村さん。旭川とも縁が深く、JR札幌駅コンコースには壁画「白い風のソナタ」が設置されています。

ざらついた独自の絵肌を背景に、アジアに生きる人々の姿を生き生きと描き出す田村さんの作品。その一枚一枚には、旅の中で出会った人々の息づかいや、祈りにも似た静かな力強さが宿っています。会場で実際に作品と向き合っていただくと、その色彩と質感が放つエネルギーを、きっと肌で感じていただけることと思います。

――「あなたには、この女性が何を想っているように見えますか?」

田村能里子『ときを刻む女』油彩(6号)/40㎝×31㎝

今回出品される作品もまた、そんな問いを静かに投げかけてくる作品ばかりです。赤やオレンジ、黄色が幾重にも重なり、静かでありながら、どこか強い存在感を放っています。世界各地、なかでもアジアやシルクロードを旅し、そこで出会った人々を描き続けてきた田村さん。描かれた女性の表情から感じ取れるのは、時間、記憶、祈り、そして人生――。見る人によって、感じるものはきっと違うはずです。だからこそ、ただ“見る”だけでは終わらない。自分の中にある大切な何かを、そっと思い出させてくれる。そんな作品との出会いも、今回の展示の魅力のひとつです。

35周年という節目に、当画廊と長く歩みをともにしてくださった田村能里子さんの世界を、ぜひこの機会にご堪能ください。

会期中は、田村さんご本人にも旭川にお越しいただきます。10月2日(金)にご来旭のうえ、翌3日(土)午後2時からはギャラリーシーズにてトークショーを開催いたします(参加無料)。田村さんご自身の言葉で作品や旅について語っていただける、またとない機会です。

さらに会場では、田村さんがタイやインド、中国などを旅する中で見つけてきたアクセサリー類の特別販売もいたします。イヤリングやリング、ネックレスなど、実は田村さんの作品に登場する女性たちが身につけているものと同じ品々。アジアンテイストあふれる、なかなか出会えないデザインばかりです。いつもの展覧会とはひと味違う特別な催しとなりますので、こちらもどうぞお楽しみに。

2026年8月 田村 能里子先生のアトリエにて
田村能里子『 夢の刻』油彩(6号)
田村能里子『夢の調べ』油彩(SMホール2号)

■ 「35周年記念特別企画 田村能里子展」 2026年10月2日(金)〜19日(月)
■ トークショー 10月3日(土)午後2時〜 参加無料
■ ギャラリーシーズ 午前11時から午後6時30分 (入場無料・火曜日休廊)

作品について詳しく見る

本コラムでご紹介した作品の詳細は、作品紹介ページでご覧いただけます。

久木 佐知子

この記事を書いた人

久木 佐知子

Hisaki Sachiko

1991年に旭川市にギャラリーシーズを開廊。
旭川美術振興会理事、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館協議会委員など
歴任し、文化面から地域振興に協力しています。

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