
ギャラリーシーズより、美術展のご案内です。
現在、北海道立旭川美術館にて「 砂澤ビッキ展 -砂澤ビッキの生きた時代- 」が開催されています。木と向き合い続けた造形家・砂澤ビッキの“生きた時間”を体感できる特別な展覧会です。
会場に足を踏み入れると、まず天井に届くかのような大作群が目に飛び込んできます。木の節や割れ目をそのまま活かした造形は、まるで森の奥から現れた精霊のよう。作品の前に立つと、彫刻というよりも木そのものが語りかけてくるような、不思議な感覚に包まれます。ビッキは木を単なる素材として扱うのではなく、自然の痕跡を読み取り、その“声”を作品へと昇華させました。荒々しさと静けさ、生命力と祈りが同時に宿るその造形は、観る者の心に深く響きます。
本展では初期から晩年まで約100点を展示。見どころの一つは、ビッキの蔵書資料です。澁澤龍彦やシュルレアリスム、民族芸術、自然観に関する書籍など、彼の思考の源泉が紹介され、作品だけでは見えない“内なる世界”が浮かび上がります。木彫家でありながら、世界の文化や思想に広く触れていた姿が伝わる構成です。
さらにロビーでは代表作《芽》も公開。風雪にさらされた木肌を「風雪という名の鑿(のみ)」と語ったビッキの言葉どおり、作品には時間そのものが刻まれています。人工と自然の境界が溶け合うような感覚を、ぜひ会場でご体感ください。
ビッキ生誕の地・旭川で作品に向き合う時間は、特別な意味を持ちます。自然と共に育まれた感性が、この土地の空気と重なり、より深い余韻を残してくれることでしょう。木の香りが漂ってくるような展示空間で、心静かに芸術と向き合うひとときをお楽しみください。
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■「 砂澤ビッキ展 -砂澤ビッキの生きた時代- 」
■会期:2026年3月15日(日)まで 9:30~17:00
■会場:北海道立旭川美術館(旭川市常磐公園内)
■入場料:一般800円/高大生500円/小中生300円
芸術のひとときをご一緒に。詳しくは旭川美術館(0166-25-2577)までお問い合わせください。
グラフ旭川2月号「美術散歩」に掲載(2026年2月1日発行)
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