美術散歩  2023年 話題の美術展

今年話題の展覧会をご紹介いたします。

まずは「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展」から、19世紀末ウィーンを代表する画家エゴン・シーレ(1890-1918)は、28年という短い生涯のなかで独自の表現を追求し数多くの作品を残しました。ナイーブな感性で自己の内面を見つめ、鮮烈な色彩と線描で強烈な個性を放った画家です。展覧会では初期から晩年までの50点が展示され、画家の生涯とクリムトやココシュカなどウィーン世紀末を生きた画家たちの作品も紹介し、当時の芸術の諸相を見ることができます。会場は東京都美術館で1/26日(木)~4/9日(日)まで、また同館では4/27日(土)から20世紀美術を代表するフランスの画家マティス(1869〜1954)の大規模な回顧展が始まります。マティスは純粋な色彩を用いるフォーヴィスム(野獣派)のリーダーとして、革新的な取り組みを続けモダン・アートに大きな影響を与えました。今回はマティスコレクションで有名なポンピドゥー・センター(パリ)の全面的協力により日本初公開作品を含む約150点が公開されます。

日本美術では東京国立近代美術館の開館70周年を記念する「重要文化財の秘密」(3/

17日~5/14日)が注目を集めています。今回初めて明治以降の絵画・彫刻・工芸の中から重要文化財指定作品のみで構成され、横山大観「生々流転」、萬鉄五郎「裸体美人」など同館所蔵作品に加え、青木繁「わだつみいろこの宮」、岸田劉生「麗子微笑」、黒田清輝「湖畔」、高橋由一「鮭」、高村光雲「老猿」などの有名作品も展示されます。

 最後に「デイヴィッド・ホックニー展」(東京都現代美術館 7/15〜11/5)を紹介しましょう。ホックニーは英国の現代芸術を代表する一人で、1937年に英国に生まれロンドンの王立美術学校で学んだ後1964年にロサンゼルスに移住しアメリカ西海岸の陽光あふれる情景を描いた絵画で一躍脚光を浴びました。80歳を超えた現在もiPadを用いて身近な主題を描いています。展覧会では初期から現在まで100点以上の作品が紹介されます。ホックニーの作品は2018年のクリスティーズ・ニューヨークのオークションで、約102億円で落札され、現存作家としてのオークションレコードを記録しています。(つづく)