オンライン美術館のご紹介Ⅱ~自宅で楽しむ絵画鑑賞

新型コロナウイルスの世界的な流行から、国内外の美術館が休館し、アートイベントの中止や延期も相次いでいます。こんなときこそ美術ファンの皆さんにオンライン環境を活用した美術鑑賞をお勧めします。

世界中の美術館の名画を家に居ながら楽しめるのが、Googleが提供するアプリ「Google  Arts & Culture 」です。スマートフォンやパソコンからアクセスすると、Googleが提携する世界80カ国、 2000以上の美術館や博物館の名画や展示風景を見られます。絵を拡大して細部を見たり、作家検索で作品を時系列で確認したりもでき、その作家がどのように進化したのか分かります。また、ストリートビュー機能を使うと美術館や宮殿の内部、世界遺産などもさまざまな角度から見られます。それも驚くほど美しい画像で。

その「Google  Arts &  Culture」が新たに始めたサービスが「ポケットギャラリー」です。AR機能を搭載し、あたかも目の前に本物の名画があるような感覚で芸術鑑賞が楽しめます。その第一弾が17世紀バロック期の画家で、光の魔術師と称されるフェルメールです。「真珠の耳飾りの少女」(1665年頃)、「牛乳を注ぐ女」(1660年頃)など代表作を含む36点が公開されています。構成はマウリッツハイツ美術館のキュレーターで、作品サイズも実寸とのこと。世界各地の18の美術館にあるフェルメールのコレクションが一堂に会するなんて現実にはありえないことをヴァーチャルツアーがかなえてくれます。

国際的アートイベント「シドニー・ビエンナーレ2020」も中止となりましたが、 「Google Arts & Culture」と提携し、世界初のバーチャルビエンナーレをオンラインで公開中です。 このように世界各地の美術館やアートイベントでのオンラインビューイングは広がりをみせています。文化の場を守ろうとクラウドファンディングも多数募集中です。

最後に、アメリカのゲティ財団が運営する「J・ポール・ゲティ美術館」の展覧会カタログや研究資料など、300冊以上のアート関連書籍がオンラインで公開され、自宅で読めます。ジャンルは美術、写真、考古学、建築。作品の保存・修復、人文科学など多岐にわたり、もちろん無料です。

 


※『グラフ旭川』2020年5月号掲載記事より