オンライン美術館のご紹介 ~ストリートビューで楽しめる世界の名品 ~

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、全国各地の美術館も臨時休館しました。一刻も早く感染終息宣言が出てほしいと願っていますが、こんなときは「Google Arts & Culture」のアプリを使って、オンラインによる美術鑑賞をされてはいかがでしょう。

このアプリでは、世界の有名美術館の展示をストリートビューで観られるほか、収蔵品などの解説でさまざまな情報を得られます。画面をズームアップすれば絵の細部も見られますし、各地の名画をガイドツアー付きで鑑賞できます。美術鑑賞の新しいツールとして、ぜひお勧めいたします。

また美術鑑賞法のひとつとして、近年はVTS( ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ)が注目されています。VTSとは、1980年代にニューヨーク近代美術館の当時教育部長だったヤノウィン氏が中心となり開発した鑑賞法です。知識にたよらず、一つのアート作品を10分以上かけて見ることだけ集中するという鑑賞法です。

たとえば芸術作品を見たときに、内面で湧き上がる感情や疑問は、見る人によってさまざまです。同じ作品を見たとしても、好きだと思う人もいれば、苦手と感じる人もいます。「この作品の意味することは何だろ?」と考え込む人もいれば、「なんだかよくわからない」と判断する人もいるでしょうし、その作品に出合うことで特別なインスピレーションを受ける人もいるでしょう。大事なのは作品そのものへの理解だけではなく、自分が作品を見て何を感じて、考えるかということです。

VTSの実践により観察力や思考力、言語能力が高まると言われていますから、美術鑑賞をより愉しめるようになるだけでなく、ビジネスシーンや人生全般においても役立つことでしょう。VTSは欧米はもちろん、世界各国の教育現場で採用されていますが、特にアメリカでは約300の学校および約100の美術館や博物館で導入されているそうです。

さて、ギャラリーシーズでは5月「-7人の精鋭たち-レゾナンス・エフェクト」を開催いたします。国内外のアートフェアを舞台、独自の世界観で活躍する若手現代作家7人の作品をご紹介します。彼らの異なる個性と表現が共鳴する空間をお楽しみください。

※『グラフ旭川』2020年4月号掲載記事より