あなたの大雪山は?

北海道の秋は観光、グルメ、アートも見どころがいっぱいです。大自然と四季が織りなす大雪山系や、大地と海の恵みが与えてくれる美味しい「食」に出会える時期でもありますね。

一番早い秋はというと、大雪山国立公園の層雲峡でしょうか。ほかの地域に先立って紅葉を堪能できる人気スポットです。起伏に富んだ地形にはたくさんの木々が生い茂り、赤く色づくモミジ以外にも黄色い広葉樹や、一年中緑の葉を絶やさない針葉樹が混在し、まるで絵画のような光景に出合えます。

さて、今回のテーマは「大雪山系」です。「北海道の屋根」とも呼ばれる大雪山系は、眺める季節や場所、時間によって様々な表情を見せてくれます。古くアイヌの人たちが「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼んだように、この景色に目を奪われる人は多いでしょう。

大雪の山々を初めて描いた画家は村田丹下 (1896~1982)です。村田は当時の経済界のバックアップを得て、300枚もの大雪山の絵を描き、東京で展覧会を開催。全国に層雲峡をPRしました。また「写実の鬼」ともいわれ、軍人首相、東条英機などの肖像を描き肖像画家としても活躍しました。岩手県に生まれ、10 歳で家族とともに旭川に移住し、その後は画家を志して上京、黒田清輝や和田英作らに師事しました。その生涯は「知られざる大雪山の画家・村田丹下」(清水敏 一箸)に綴られています。

同じく大雪山の画家として知られるのが高橋北修(1898~1978)です。 1921年、当時人口6万人にも満たない旭川で絵描きとして活動を始めました。明快な輪郭と輝く色調、重厚感ある筆致で山塊の重量感を描き、多くの大雪の絵を遺しました。

10月のギャラリーシーズでは恒例の「大雪山の四季を描く展」を開催します。旭川在住 の17 人の画家の方々に思い思いの大雪山を描いていただき、大雪の自然と魅力をご紹介い たします。特別展示として日本画家・伊藤たけしや洋画家・高橋北修の作品も展示して皆さまをお待ちしております。あなたの大雪山を見つけていただければ幸いです。

****************************************************************************************「大雪山の四季を描く2019」10 月2日(水)~ 14 日(月)11 時~ 18 時半(火曜休) 〈水彩画〉  高松秀人、早川裕子

〈油 彩〉 板谷諭使、入井峰生、大久保正義、 大西 勤、川口幸和、菊池潤子、斎藤健昭、高橋三加子、萩原常良、星野美知枝、盛本学史

〈版 画〉  遠藤  享、渋谷正己

※特別展示   伊藤たけし、高橋北修

画像 高橋北修「 大雪山の見える丘」油彩8号

大久保正義「 連山暮秋」油彩10号

※『グラフ旭川』2019年10月号掲載記事より