スマホで楽しむ世界の美術

新元号「令和」には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められているそうですね。筆者は令和時代も地域文化の発展にささやかでも努めて参りたいと思います。今後とも「美術散歩」をよろしくお願いいたします。

さて、今回は最新のアプリを使った美術鑑賞についてご紹介しましょう。

ニューヨークのメトロポリタン美術館、パリのルーブル美術館、ロンドンの大英博物館と並んで世界3大美術館の一つです。昨年から40万点に及ぶコレクション画像をオンラインで、無料で提供し始めました。著作権フリーになっているフェルメールやゴッホ、モネなどの画像を世界中のインターネットユーザーが自由に見られるようになりました。HPへのアクセスを増やし、実際に美術館に足を運んでもらうきっかけをつくるのが目的です。これを機にコレクションのデジタル化と無料開放の機運は高まっています。

加えてアートに特化したアプリの開発でこれまで以上に美術鑑賞の楽しみ方は広がっています。

Googleが提供している「Google Arts & Culture」は、世界各国の美術館が所蔵する名画を閲覧できるアプリです。日本からも国立西洋美術館や東京国立近代美術館などが掲載され、美術館内のストリートビューや作品の高解像度ビューなど、様々な機能を楽しめます。このアプリは筆者も利用していますが、さまざまな美術情報に加え、高解像度画像を拡大して細部の表現まで見ることができ、絵画への理解がより深まります。

また、ロンドンのナショナル・ギャラリーの「クレディ・スイス展 モネと建築」を見ると、担当キュレーターによる詳細な解説とともに、作品画像や動画が公開されています。さらに「マスターピースに隠された秘密」として『睡蓮』や『サン・ラザール駅』をはじめ、5つの作品を読み解くセクションもあり、それぞれが超高解像度でズーム閲覧できます。このようにロンドンに行かずともアプリで美術展の構成や会場風景などを観ることが可能になりました。

将来は美術館で作品にスマートフォンをかざすだけで、作品に関する情報を得られるようになるようです。美術鑑賞はますます身近になりました。


※『グラフ旭川』2019年5月号掲載記事より