
2025年は、美術愛好家にとって特別な年となることでしょう。各地で開催される多彩な展覧会は、芸術の多様性とその魅力を存分に感じさせてくれます。
まず、日本美術では大阪万博の開催に伴いイベントが目白押しです。浮世絵や襖絵、仏像、近代絵画といった多様な作品が揃い、その華やかさは百花繚乱。特に「国宝」を中心とした展覧会は必見です。4月から9月にかけて東京国立博物館(東京・上野)で開催される「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」展では、江戸文化の名プロデューサー、蔦屋重三郎にスポットライトを当てます。続いて、謎多き「大奥」の真実に迫る展覧会が2つ連続して開催されます。また、現代のアーティストが伝統的な木版画の技術を用いて新たな表現に挑戦する「浮世絵現代」展も見逃せません。
大阪中之島美術館では「日本美術の鉱脈展―未来の国宝を探せ!」が6月21日から8月31日まで開催されます。伊藤若冲と円山応挙の合作屏風の初公開や、デジタル復元された若冲の「釈迦十六羅漢図屏風」も展示されます。これにより、日本美術の貴重な一面を堪能できます。
西洋絵画では、「パウル・クレー展―創造をめぐる星座」が兵庫県立美術館で3月29日から開催されます。パウル・クレーと20世紀美術の巨匠たちが競演する幻想的な空間で、20世紀美術の変遷を楽しむことができます。
また、秋には印象派ファン待望の「オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語」が国立西洋美術館(東京・上野)で10月25日から開幕します。オルセー美術館の豊富なコレクションから、室内画に焦点を当てた展覧会で、エドガー・ドガの「家族の肖像(ベレッリ家)」が初展示されます。
パナソニック美術館では「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965」が3月23日まで開催中です。建築家ル・コルビュジエの絵画、彫刻、素描、タペストリーなどが紹介され、彼の世界観としての統一や調和、普遍的な美を堪能することができるでしょう。
さらに、世界史に関しては、「ラムセス大王展」が東京に春に来日し、古代エジプト展が各地を巡ります。考古学ファンにとっても注目の展覧会となるでしょう。 最後に前号でも紹介しましたが「大ゴッホ展」などゴッホ関連の美術展も全国巡回予定で、本年はアートファンにとって特別な一年となることでしょう。これらの展覧会を訪れ、豊かなアートの世界に触れ、そのコンセプトを存分に楽しんでください。