大正ロマンを代表する画家のひとりで、数多くの美人画を残した竹久夢二(1884~1934)の作品を展示する「竹久夢二 憧れの欧米への旅」が道立旭川美術館(竹久夢二展旭川市民実行委員会など主催)で9月23日(土・祝)~11月19日(日)まで開催されます。
竹久夢二といえば、モダンでファッショナブルな美人像で知られる画家。憂いをおびた眼差しやあでやかな衣装、のびやかなポーズの女性は「夢二式美人」とも呼ばれ、当時の若い女性の間で絶大な人気を博したそうです。夢二が描く独自のスタイル、叙情的な作風はまさに大正ロマンを体現するものでした。一方、夢二はイラストレーター、デザイナーの先駆けとしても活躍し、文芸の分野でも詩や歌謡、童話などに幅広く人気を集めました。
中でも詩歌「宵待草」は、夢二が27歳の時に出合った女性との淡く儚い恋を詩にしたといわれています。
「待てど 暮らせど 来ぬ人を宵待草の やるせなさ 今宵は月も出ぬそうな」
この夢二の詩に曲がつけられ、一世を風靡し、全国的な愛唱歌となりました。
さて、今回の展覧会では日本有数の夢二のコレクターである中右瑛氏のコレクションから、夢二が晩年に訪れた欧米時のスケッチを中心に、貴重な肉筆画、掛け軸の他、版画や本の挿絵、装幀などの印刷物などデザインの分野にいたるまでの多彩な作品180点が展示されます。
誰にも師事せず、独力で人気画家の地位を築いた夢二ですが、その人生は必ずしも順風満帆ではありませんでした。40代後半で欧米に遊学するも、アメリカは大恐慌時代であり、ヨーロッパではファシズムの台頭する時代でもありました。欧米での活動はけっして順調なものではありませんでしたが、2年あまりの放浪の間に数多くの風景画を描き、スケッチを残しました。1933年に帰国しますが結核を患い、49歳でこの世を去っています。
わずか50年たらずの短い生涯でしたが、クリエイターとして才能を開花させ、画家としても夢二の魅力が詰まった作品を数多く遺しました。
尚、開催中は講演会、ギャラリートーク、見どころの解説やお茶会等が予定されています。展覧会のチケットは、当日1000円、前売り券は800円で、旭川美術館や各実行委員からご購入いただけます。詳しくは旭川美術館 0166-25-2577まで