世界が絶賛した浮世絵師―葛飾北斎

日本人画家として世界中で最も知られている画家といえば葛飾北斎でしょう。その生涯は映画やTVドラマになっていますし、現在、日本人の4人に1人は持っているといわれるパスポートの査証ページには、北斎の代表作「富嶽三十六景」から24枚が掲載されています。今や世界中に日本を象徴するイメージとして北斎は広く知られているだけでなく、現在も絶大な人気があります。


「富嶽三十六景」(全46図)のなかでも特に知られているのが「神奈川沖浪裏」です。高く激しく渦巻く波濤と波に揉まれる3艘の舟。海は荒れ狂い、波の波頭が砕けるその瞬間を切り取っています。舟には艪にしがみつく8人の漕ぎ手が描かれ、うねる波間から遥か彼方に富士の山を垣間見るという、劇的な構図が印象的です。
葛飾北斎(1760年~1849年)は、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽らと並び江戸時代後期に活躍した浮世絵師で、その作品はゴッホやマネなど当時の印象派の画家たちに大きな影響を与え、ヨーロッパにジャポニズムを巻き起こしました。


北斎は大胆な構図と卓越した線描、色彩に至るまで独自の世界を貫いた画家です。版画のほか、肉筆浮世絵、挿絵や絵本も多数発表し、幅広い分野で名作を残しています。生涯に3万点を超える作品を発表したことも驚愕に価するところですが、加えて90年にも及ぶ波乱万丈の生涯には研究も進んでいますが謎に包まれた部分も多くあります。
その北斎の魅力を堪能する展覧会「世界が絶賛した浮世絵師・北斎展-師とその弟子たち」が、道立旭川美術館40周年記念として、「北斎展旭川市民実行委員会」らの主催で開催されます。絵手本の「北斎漫画」から錦絵の「富嶽三十六景」や「東海道五十三次」などの代表作のほか、初期の役者絵や妖怪絵、さらに貴重な肉筆画も加え、北斎の全貌に迫る内容です。現代においても圧倒的な評価と人気を誇る「葛飾北斎」。常に革新的な作風に挑み続け、画号を30回以上も変え、90回以上引っ越したという稀代の画家の生涯と作品に触れていただく絶好の機会となっています。

会期は9月17日(土)~11月27日(日)まで。
なお、会期中に中右瑛氏(国際浮世絵学会常任理事)によるギャラリートークや講演会が開かれます。10/7(金)午後3時から、お問合せは道立旭川美術館へ