放浪の天才画家 山下清展」の見どころと作品の魅力 その1

「放浪の天才画家・山下清展」が道立旭川美術館で9月18日(土)~11月23日(火・祝)まで開催されます。

山下清といえば、俳優の小林桂樹が主演した映画「裸の大将」(昭和33年)をはじめ、芦屋雁之助(昭和55年)や「ドランクドラゴン」の塚地武雄(平成19年)が演じてテレビドラマになったこともあり、美術ファンのみならず幅広い層に支持されています。短く刈り込んだ坊主頭とランニングシャツに半ズボン、リュックと傘、スケッチブックを抱えたスタイルが知られていますが、このマスコミやフィクションが伝えたイメージは山下清の真の姿と違うそうです。では、山下清とはどういう人で、その生涯はどのようなものだったのでしょう。

山下清(1922-1971)は、大正11年に東京で生まれました。49歳という若さで亡くなったその短い生涯は、激動の時代である昭和において波乱に満ちた人生でした。幼い頃の病で軽い障害を患い福祉型障害児施設・八幡学園に入園。そこで教育の一環として行われていた貼り絵に出合いその才能を開花します。代表作「花火」や「桜島」、「東海道五十三次」など多彩な作品を遺しました。とりわけ花火が好きで、花火大会の開催を聞きつけると全国に足を運び、感動した情景を作品に仕上げたそうです。ただ、実際はドラマや映画とは異なり、旅先ではほとんど絵を描かず、八幡学園や実家に帰ってから記憶をもとに描いたといいます。このように放浪の旅を繰り返しながら、帰ってきては旅で出会った風景を作品に表したのです。

今回の展示では、作品や資料、本人の文章によって画家として再評価されているところに焦点をあてています。約130点の作品と放浪日記など資料、本人の言葉により、初期から晩年にかけて画業を紹介します。また、本展は旭川市民実行委員会が主催する展覧会で、企業や個人の250名近くの方々に実行委員をお引受けいただき、山下清展のPRや前売券(800円)の販売にご協力いただいております。道立旭川美術館や各実行委員の方々からご購入いただけますので、ぜひご利用ください。次回は山下清の作品とその生涯について詳しくお伝えいたします。

長岡の花火 ちぎり絵