五輪イヤー彩る文化活動に期待

オリンピックイヤーといわれる今年、国内外の観光客をターゲットにしたさまざまな文化プログラムが予定されています。例えば、4月18日(土)には、東京体育館で、市川海老蔵と世界的オペラ歌手であるプラシド・ドミンゴのコラボレーションによるステージ、『KABUKI×OPERA「光の王」』が披露されます。歌舞伎とオペラを融合させた、世界初の舞台とは?期待が高まります。

さらに6月24日(水)~27日(土)のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による特別公演(東京文化会館)では、ベネズエラ出身の天才指揮者、グスターボ・ドゥダメルがタクトをとります。このフェスティバルのために用意されたスペシャル・プログラムにも話題が集まっています。

一方、ここ旭川でも「若者の祭典」にちなんだイベントが行われ、注目を集めています。オーデションに合格した市民が出演する旭川歴史市民劇『旭川青春グラフティ ザ・ゴールデンエイジ』(旭川歴史市民劇実行委員会主催)の公演が、8月29日(土)、30日(日)に旭川市民文化会館で開かれます。そのPRも兼ねたプレ公演が2月15日(土)、16(日)に、同じく同館小ホールで公開されます。料金は前売・当日共に500円です。

『旭川青春グラフティ ザ・ゴールデンエイジ』は、大正末期から昭和初期の旭川を舞台に、主人公である10代の若者達が、当時活躍していた文化人である画家・高橋北修(1898~1978年)や詩人の小熊秀雄(1901~40年)らと交流し、自らの進むべき道を見つける物語です。

高橋北修は、当時人口が6万人にも満たない旭川で絵描きを志し、「大雪山の画家」として知られています。晩年は病に倒れ半身不随でしたが、みずみずしい色彩と重厚感あふれる作風は衰えず、迫力のある作品を残してくれました。

小熊秀雄は、自由や理想を奔放に歌い上げ、詩壇に新風を吹き込んだ詩人です。39歳でこの世を去りましたが、その偉業を讃えて、優れた詩人を顕彰する「小熊秀雄賞」として現代に生きています。

高橋や小熊ら郷土の文化の先駆者が登場する歴史劇は、彼らが悩み苦しみながらも新しい時代の創造を夢見ていた「若き日の旭川」を思い出させてくれ、また旭川の未来に光明を与えてくれるのではないかと、旭川市民の一人として期待しています。

※『グラフ旭川』2020年2月号掲載記事より