2020年 話題の美術展から

美術ブームの続く日本では、新年も話題の美術展が数多く予定されています。今回は、その中でも注目の美術展をご紹介いたしましょう。

東京国立西洋美術館で3月3日から6月14日まで公開される英国「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」では、ゴッホの「ひまわり」をはじめ 61 点の有名絵画が初来日します。

東京国立西洋美術館で開催する「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」のポスター

ゴッホは7枚の「ひまわり」を描きましたが (そのうち1枚は焼失)、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの「ひまわり」は14本で、彼が4番目に描いたものです。ちなみにゴッホの「ひまわり」と言えば、アジアで唯一「ひまわり」を常設展示している東郷青児記念損保ジャパン興亜美術館(東京・新宿)が、5月より「SOMPO美術館」として生まれ変わります。この美術館では、彼が5番目に描いた15 本の「ひまわり」を所蔵しています。

なお令和元年は、「天皇即位の礼」などで日本の古式ゆかしい儀式や装束が注目されましたが、新年には「日本書紀1300年特別展 出雲と大和」が東京国立博物館平成館で開催されます。前期(1月15 日~2月9日)、後期(2月 11 日~3月8日)の2回に分けた展示となります。同じく東京国立博物館で、京都の高山寺に伝わる国宝「鳥獣戯画」の4巻すべてを公開する特別展が7月14 日から開催されます。

東京国立博物館平成館で開催する「日本初期1300年特別展 出雲と大和」

さらに、’20年は前述のSOMPO美術館のほかにも美術館のリニューアルオープンが計画され、新たなアートスポットとして人気を集めそうです。

印象派や20世紀美術などの西洋絵画で有名な「ブリジストン美術館」(東京・京橋)は、新たに「アーティゾン美術館」として1月に開館します。展示室は約2倍に拡張され、収蔵品にはカンディンスキーやクレーの作品が加わります。

京都市美術館は3月に「京都市京セラ美術館」として新たな門出を迎えますし、青森県弘前市では、築100年のシードル工場が現代美術館「弘前れんが倉庫美術館」として4月に開館します。旭川ゆかりの建築家・田根剛氏が、明治・大正期に建設された近代産業遺産「吉野町煉瓦倉庫」を活用して設計したもので、チタン製の「シードル・ゴールド」の菱葺屋根が話題を集めています。

※『グラフ旭川』2020年1月号掲載記事より