田村能里子さんのアトリエ訪問と話題の3つの美術展

ギャラリーシーズは毎秋、美術ツアーを開催しています。

今年は東京と横浜を美術散歩する「田村能里子さんのアトリエ訪問とこの秋話題の3つの美術展」を企画し、15 名の方が参加してくださいました。

田村能里子さんは、画業 50 年を迎えてますますお健やかでした。世界的にも数少ない女 流壁画家であり、日本屈指の洋画家のお一人です。東京・世田谷区にあるアトリエに伺い、30 年前に中国・西安のホテル(旧唐華賓館)のロビー用に制作したデビュー作の壁画から 65 作目の新作壁画まで、各作品への思いや制作秘話を映像とともにご披露くださいました。 室内のインテリアには、アジア各地の調度品がさりげなく配され、気さくで朗らかなお人 柄と共にセンスの良さも伝わってきました。

田村能里子さんのアトリエを訪問した際の1枚。

そして「話題の3つの美術展巡り」は、横浜美術館「ルノワールとパリに恋した12 人の 画家たち」からスタート。パリ・オランジュリー美術館のコレクション、ルノワールやピカソ、マティスなど、印象派やエコール・ル・ド・パリ派の名作が 70 点も展示されていまし た。また「コートールド美術館展」(東京都 美術館)は、マネやゴッホ、セザンヌをはじめとした印象派やポスト印象派が中心でした。マネ晩年の傑作「フォートベルジェールのバー」にはパリの酒場の男女が描かれ、彼らの行く末に思いを馳せる楽しさもありました。

横浜美術館「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」会場前にて。

「ハプスブルク展」(西洋美術館)では、スペインの宮廷画家・ベラスケスの「マルガリータ王女」が初来日し、王妃マリー・アントワ ネットの肖像など、600年にも及ぶハプス ブルク家の至宝を堪能しました。西洋絵画の歴史を学ぶにはどれも見逃せない、充実した 内容の美術展で、参加された皆さんは芸術の秋を満喫されたようです。

ところで、天皇陛下の即位の礼は海外メディアでも大きく取り上げられましたね。古式ゆかしい儀式や、黄櫨染袍という天皇陛下だけが着る装束や、十二単を纏った皇后陛下のお姿は、世界に日本文化を発信する機会になったと思います。御即位を記念した特別展「正倉院の世界」 (東京国立博物館平成館)では、飛鳥・奈良 時代の大鏡や螺鈿装飾の琵琶などを鑑賞しましたが、かけがえのない文化遺産を目のあたりにできることの意義は大きいですね。 

さて、ギャラリーシーズでは 12 月4日(水)~ 16 日(月)まで「私の天使たち2019」 を開催します。幸運を運んでくれる天使をモ チーフにした、クリスマス企画です。道内外 でご活躍のアーティストによる油彩、版画、オ ブジェなど多彩な作品を展示販売いたします。

※『グラフ旭川』2019年12月号掲載記事より