イルミネーションと彫刻

 ナナカマドの実が赤く色づきました。我が家の前の「旭町ポケットパーク」も例年通りイルミネーションが点灯され、行き交う人の目を楽しませてくれています。

このポケットパークには山谷圭司さんの彫刻「塞の石組み」があります。いくつもの大きな自然石を組んだもので、2000年の旭川彫刻フェスタの公開制作作品のひとつです。山谷さんは作品について、その昔、村の入口に祀られて悪疫悪神の侵入を防ぐ「塞の神」が大石をもって象徴されていた信仰にふれ、「頑丈な石組みのなかに隙間をもたせ、良いものは受け入れ、悪いものは跳ね除ける役目を彫刻に与えた」と話していました。また大きな自然石を配したのは、コンクリートなど人工的な素材で溢れた都市空間で大地や自然を思い出して欲しいから、だそうです。

山谷圭司・「塞の石組み」
さて、中原悌二郎賞が今年50年を迎えました。旭川市彫刻美術館では中原悌二郎賞受賞作家の笹戸千鶴子さんの特別展「ブロンズの微笑み-笹戸千鶴子展」を12/13( 日)まで開催しています。
笹戸さんといえば永隆橋に佇む裸婦像「微風」が有名ですね。大雪山系を背景に若く健康的な女性が髪を束ねて両腕を上げた立像です。
笹戸さんと作品について、師の佐藤忠良さんのことばがありました。
「笹戸千鶴子が東京造形大学を出た頃、粘土練りの手伝いや、顔のモデルになってもらったのがきっかけで、永福町のアトリエに通いいつの間にか20年が経ってしまった。(中略)学生時代に一日も休まぬ勉強振りもさることながら、日曜祭日なしのアトリエ通いは、早朝の掃除ともども欠かしたことのない毎日である。美術界では今や死語になっている『徒弟』風に見えるかもしれないが、こちらにいいところがあれば構わず盗みとってもらいたいと、思っているのに、子供はよく親の仕種(しぐさ)の癖を見事にみせてくれるのに似て、ハッとさせられることもある」(「笹戸千津子展」1992 図録より)

 「ブロンズの微笑み」展は、恩師・佐藤忠良さんの数々のプロジェクトをサポートし、その教えを継承し、自らも制作した笹戸さんの軌跡をたどる内容となっています。

「ブロンズの微笑み~笹戸千鶴子展」ポスターより